健康ひろば

癲癇(てんかん)の発作はモーツァルトが良い(研究結果)

癲癇(てんかん)の発作はモーツァルトが良い(研究結果)

新しい臨床研究で、モーツァルトの曲が癲癇(てんかん)の防止に役立つ可能性がある事が分かる。
癲癇(てんかん)とは発作を繰り返す脳の異常が起因する疾患です。
脳の神経細胞は電気的な活動をしていますが、突然発生する激しい電気的な刺激により発作の症状(けいれん、手足の突っ張り等)を引き起こします。

全世界に5000万人の癲癇患者がいると推計されており、神経疾患の中では最も一般的なものだと考えられています。
これまでの研究でも、モーツァルトの曲と癲癇(てんかん)の発作の頻度には関係があることが分かってはいました。

しかし、それが単に聴覚的な刺激の効果なのか、モーツァルトの曲に癲癇(てんかん)を抑える効果があるのか証拠がありませんでした。
ですが、クレンビル脳研究所のMarjan Rafiee博士とTaufik Valiante博士による新しい臨床研究では、モーツァルトの組成物がてんかん患者の発作頻度を低下させる可能性がある事が分かりました。

試験内容

参加者を2つのグループに分ける。

  ・Aグループ:モーツァルトの「2台のピアノのためのソナタ ニ長調 第1楽章 K.448」の最初の6分30秒を3ヶ月間にわたり毎日1回聴いた後、同じ曲の位相やリズムを編集した「スクランブル版」を同様に3カ月間毎日聴いてもらう。

  ・Bグループ:「スクランブル版」を3カ月間聴いてから、原曲を3カ月間聴きました。
研究チームが実験に「2台のピアノのためのソナタ」の第1楽章を用いたのは、この曲の長さがちょうどよかったことと、過去の研究によりこの曲に含まれるリズムがてんかんの治療に役立つ可能性が示されていたことが理由とのことです。
実験期間中の各参加者には、発作の頻度を記録する日誌を作成してもらいました。
また、治療薬が実験に影響しないように、実験期間中は飲んでいる抗てんかん薬などを変えないようにしてもらいました。

試験結果

この実験の結果、Aグループ「2台のピアノのためのソナタ」の原曲を毎日聴いている参加者は、発作の頻度が明らかに少なかったとのこと。
また、この効果は同曲の「スクランブル版」を聴いている最中の参加者には見られませんでした。
このことから、Rafiee博士は「『2台のピアノのためのソナタ』の第1楽章を毎日聴くことが、てんかん患者の発作頻度の減少と関連していることが示されました。
これは、毎日モーツァルトを聴くのは、てんかん患者の発作を減らすための補助的な治療オプションとして検討に値するということを示唆しています」と述べました。

さらに、Rafiee博士は「私は外科医として、手術により症状が改善したてんかん患者を見られるのはうれしい限りです。
しかし、手術をの選択肢がなく、手術の恩恵を受けられない患者のこともよく知ってるので、症状のコントロールを改善し、てんかん患者の生活の質を向上させられる方法を常に探しています。
これまでの研究と同様に、今回の研究は多くの疑問をなげかけるものなので、今後もさらなる研究と「てんかんコミュニティ」からの支援により、疑問の答えを見つけていきたいと思います」と話し、研究の継続に意欲をのぞかせました。


参考商品:デパケンジェネリック [バルパリン]

参考資料:
てんかん - Wikipedia

ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルト - Wikipedia

臨床研究 - wikipedia


もっと読む