健康ひろば
自衛隊2700人中感染者ゼロの奇跡 「恐れず、侮らず」の合言葉 誰もが忘れがちな行動の徹底

新型コロナウィルスの感染拡大が注目され始めた最大の事件が
横浜に停泊した「ダイヤモンドプリンセス号(以下ダ号とする)」の一件だろう。
2月1日に香港で下船した中国系男性の感染が判明した。
それを受けて、ダ号は急遽予定を変更し、2月3日横浜に入港、接岸をせずに大黒ふ頭沖で検疫をはじめた。
船内の動きなども、感染拡大を招いたとして非難されているが、ご存じの通りに、ダ号船内でのアウトブレイクが確実になり、自衛隊に災害派遣命令が下されることになる。
2月6日から3月1日にかけて、
陸・海・空の自衛隊が25日間に渡り、船内での任務を遂行する。
任務には、検体採取、患者搬送など、かなり危険度の高い任務も含まれている。
最高時190名、のべにして2700人の自衛隊員が派遣されている。
少人数とは言いずらい数の自衛隊員が船内で動いているわけである。
現場で活動していた厚生労働省職員にも感染者がでた。
がしかし、結果、ダ号に出動した自衛隊員には感染者がゼロというミラクルが起きるのである。
自衛隊員の感染者ゼロの謎を紐解いていこう。
この奇跡はなぜ起こったのか。
今回、最重要視されたキーワードは「基本に忠実に、徹底的に」だった。
「ひとりひとりがやるべきことをしっかりと実施する」、これこそが、最大のポイントと言えるだろう。
では、「やるべきこと」とは何なのか。
まず、隊員たち自身が、徹底することとして、
① 手指の消毒
② マスク装着時の隙間をなくす
③ 手袋、マスク、防護服の完全着用(着方や付け方も徹底)
これは、このコロナ禍においては、防護服はさておき、マスク着用、手指消毒は実行している人も少なくない。
まずは、これがやるべきことだ。
ともすれば、これは日本国民、いや世界全員が行うべきことであり、特別なことでもない。
が、それをひとたび徹底するために必要なこと、これを実施することが、なかなか難しいのだが、自衛隊員はやっていた。
④ 二人一組を基本として、徹底した互確認、互介助作業
⑤ 防護服着脱方法の確認
⑥ 拠点宿泊施設(フェリー「はくおう」)内での感染リスクゾーン分け理論としては、分かっていても完全実行は大変だ。
マスクの着脱にしても、一般生活の中では、ふとしたことでリスクを冒してしまう。
①~③を徹底する行動、規則として④~⑥が実行できたことが、感染者をゼロにした要因でもあるだろう。
その他、
⑦ 十分な栄養補給
⑧ 自衛隊という専門分野での確実な教育
があげられるが、「徹底」という行動と何かを「厳守」するという行動には、
⑧は必要なものであろうし、人間として⑦の栄養補給は大切だ。
自衛隊の中では、新型コロナウィルスを眼に見えない敵、脅威と考え行動することが指導されていた。
「恐れず、侮らず」がもうひとつのキーワードだった。
ダ号任務時における「自衛隊員感染者ゼロ」は、おこるべき準備を徹底的にし、そしておこした奇跡と言えるだろう。
自衛隊員だから、と言うよりも、「やるべきことを徹底的にやること、そしてそれを実行できる人間力があること」。
誰でも、こうした力を養っておけば、来る将来にも対応していけるのかもしれない。