健康ひろば

「冷水シャワー」が病気を減らすとの研究結果(減量、メンタルヘルス改善)

「冷水シャワー」が病気を減らすとの研究結果(減量、メンタルヘルス改善)

冷水健康法は古くから日本でも行われ来ました。医学的にも運動生理学的も有効として取り入れられているのを聞いたことがあるでしょう。

例えば、アスリートがトレーニング後に回復を促すために身体を冷やすと、

「冷たさは血管の反応を刺激し、血管収縮(血管を狭くすること)が促されます」

参考:Cold showers are said to be good for you ? here's what the evidence shows
   URL:https://theconversation.com/cold-showers-are-said-to-be-good-for-you-heres-what-the-evidence-shows-167822

▶冷たいシャワーで健康体へ

冷水シャワーなどえ身体を冷やす事で代謝が促される事で身体の機能が向上する事は生理学的にも立証されています。

今回、「イギリス・ハートフォードシャー大学の心理学・スポーツ科学研究センターで所長を務めているリンゼイ・ボトムス氏」によると、人が冷たいシャワーを浴びるようになったのは19世紀初頭とのこと。

当時のイギリスの精神病院や欧米の刑務所では、「炎症を起こした脳を冷やす治療」という名目で、収容者に対して冷たい水が浴びせられていました。

この冷たいシャワーによる健康法ですが、オランダで行われた大規模な実験により、実際に健康上のメリットがあることが確かめられました。

この研究では、まず18~65歳の参加者3000人を集めて、1ヶ月間毎日温かいシャワーを浴びるよう依頼しました。参加者は「温かいシャワーを浴びるだけのグループ」と、「温かいシャワーを浴びた後冷たいシャワーを浴びるグループ」の2つに分けられました。

《調査内容》

実験期間:1カ月間(3ヶ月後に後追い調査)

実験対象者:18歳~45歳(3,000人)

調査基準:比較グループ

     1.暖かいシャワー(のみ)

     2.暖かいシャワー後、冷たいシャワーを浴びる

     *病気休暇の日数で比較

・結果:冷たいシャワーを浴びたグループの病気休暇が29%減少

・備考:冷たいシャワーを浴びた時間は30秒、60秒、90秒としたが、浴びる時間での結果の差異は生まれなかった。

▶免疫の向上・神経の活性化・血行の促進

様々な研究によっても免疫が関係している可能性があることが示唆されており、アスリートのトレーニングにも取り入れられるなど実績がある方法です。

ある研究はチェコで行われた、アスリートの若い男性らを集めて週3回、6週間にわたり冷たい水に1時間つかってもらったところ、血液中の免疫細胞や免疫物質の量が有意に増加したことが確かめられました。
*冷たいシャワーを浴びる事と病気になりにくくなる関係性は明確にはなっていません。

また、冷たい水には交感神経系を活性化させる効果があることも分かっています。
交感神経系とは、急激な恐怖やストレスによって引き起こされる戦うか逃げるか反応などを司る神経系の一部です。冷たいシャワーを浴びて交感神経系が活性化すると、ノルアドレナリンというホルモンが放出されます。ボトムス氏によると、ノルアドレナリンは心拍数や血圧の上昇の原因である一方、健康増進にもつながるとのことです。

さらに、冷たい水にさらされることで、血行がよくなるという説もあります。体が冷えると皮膚への血流が一時的に減少して体の表面の温度が下がりますが、その後体を温めるために皮膚への血流が増えます。その反動で、体の血行が改善されると考える研究者もいるとのこと。実際に、持久力トレーニングをした被験者に片足だけの冷水浴をしてもらった2019年の研究では、冷たい水につかった方の足は筋肉の血流が増加していたことが確かめられました。

▶ダイエット・認知機能向上・うつ病改善

冷たいシャワーは減量に役立つという研究結果も報告されています。若い男性に32度、20度、14度の温度の水につかってもらった2000年の研究では、14度の水につかった人は新陳代謝が350%も高くなったことが分かりました。

新陳代謝が活発になると、カロリーの消費量も増えるため、ダイエットにも役立つことが期待できます。

*日本の 水道水の温度は冬季では約6度、夏では約30度となります。

冷たいシャワーでうつ病が改善するのは、皮膚への刺激がカギとなっている可能性があります。ボトムス氏によると、皮膚には冷感のセンサーとなる受容体が高密度で存在するため、冷たいシャワーが肌に当たると、末梢神経から脳に大量の信号が送られるとのこと。これが、抗うつ効果につながっているのではないかと、ボトムス氏は考えています。

こうした数々の研究結果を踏まえて、ボトムス氏「冷たい水につかったり、冷たいシャワーを浴びたりすることが健康にいいというエビデンスがたくさんありますが、その理由はまだはっきりしていません。また、急に冷水を浴びると体に負担がかかり、特に心臓病を患っている人は心臓発作や不整脈を起こすこともあるので、こうしたリスクに注意が必要です」と述べました。

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